オオブタクサ格闘記

 1995年、笹窪谷の谷戸底に土砂が持ち込まれ、谷戸埋立が始まりました。その時、オオブタクサの種が土砂とともに、谷戸内にまき散らされ、数年で谷戸内はオオブタクサが大繁茂し、通路の脇は背の高いオオブタクサで覆われてしまいました。一度、有志で谷戸内通路沿いで繁茂するオブタクサを一斉に刈り倒した事がありますが、その後、作業をしなかったため、元の木阿弥でした。

オオブタクサ幼苗
オオブタクサ幼苗
オオブタクサ幼苗密集 クリックで拡大
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  オオブタクサは日本の侵略的外来種ワースト100、外来生物法で要注意外来生物に指定されている悪ガキです。土中に残っている休眠種子が無くなるまで、しぶとく芽を出しますので、自然環境の中に入り込んできたオオブタクサは何とか排除したいものです。恵まれた環境下ではぐんぐん育ち、小さな種から数か月で草丈3m以上にもなります。劣悪な環境や、時期的に遅く発芽した時でも一転して小さな身体を作る「可塑性」と呼ばれる変わり身、僅か20~30cmの高さでも花を咲かせる能力を持ちます。栄養状態が悪いと、通常、植物はエネルギーを使わない雄花をつけるのですが、オオブタクサは花の数を減らして雌花をつけます。風媒花のため、高いところから花粉が降ってくるのを待つ戦術です。子供のくせに(背が小さい)、大人の真似をする(種をまき散らす)のかといつも思います。この子供に出し抜かれないよう、「俺の目を盗めるのかよ」の気持ちで見て回ります。

 オオブタクサは1本でも見逃すと、何百と種が親株の下に散布され増えますので、除去に手が抜けません。幼苗時に抜くのがチャンスですが、他の草の中に紛れていても、目立ちたがりやなので(直ぐ背が高くなる)、その時 、多少手間が掛りますが除去したいものです。本数も増え1m以上に伸びるまで放置すると根が固く、茎表面がザラザラになり、除去は大変です。刈り倒しても根が残ってしまうと、晩秋にチャッカリ枝を伸ばし、種をつけるので気を抜けない相手です。

 

 笹窪谷のオオブタクサの密集地は下図の通りです。十数年の格闘の末、谷戸最奥部(上から谷戸内に進入)1はほぼ壊滅、2は今年既に幼苗100本除去、まだまだです。3はゴミが嘗て埋められた場所で、今年も幼苗110本、4はほぼ壊滅、5,6は埋立地の斜面で5はほぼ壊滅、6は除去作業がしづらい場所であることもあり、今年もしぶとく865本、未だ増えそうです。7は嘗てダンプカーが土砂を運び入れたルートで、30本発見。8はビオトープのため、地面をかき混ぜた場所で420本、まだまだ健在。9は廃棄物処分のため、毎年、オオブタクサ大繁茂、谷戸内に進入しないよう注意を払っています。10は嘗て土砂を入れた場所で、オオブタクサは多少残。11~13は畑地周辺で、12は立入が難しいので残存、他は消滅。(2013年5月9日現在)3,4,5で囲まれた空白地はアレチウリが少し遅れて繁茂します。

 

 エピソード:谷戸内の植物観察会で、先生が「ここにオオブタクサが入り込んで繁茂しています」と説明し、現場に来ると「おかしいですね、1本も見つからないのは」と言われました。それを聞いて参加していた家内が「うちのトーチャンが採っちゃたバイ(長崎弁)」と内心にんまりしたと聞きます。家内はうちの庭のヤブカラシを採るのが先と言います。                     

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オオブタクサ繁茂地
オオブタクサ繁茂地

 

 2015/6現在

 

オオブタクサほぼ除去された場所:1~5、6、7、10、11、13

 

オオブタクサが多少残っている場所:

8(看護医療学部ビオトープ敷地内)、9、12(共に民有地)

 

 2017年現在、8(看護医療学部ビオトープ敷地内)のみで、オオブタクサの繁茂が見られ、他は殆ど除去された。