谷戸低地の保全管理について

  谷戸低地(湿地)は、人為的な影響が弱まると次第に植生が遷移していきます。

遷移のスピードは湿地の置かれている状況によっても異なりますが、相対

的には低茎湿性草本群落→高茎湿性草本群落→樹林地へと変化していきます。

遠藤笹窪谷では従来遷移のスピードは緩やかでしたが、水路が掘削された

ことにより近年急速に乾燥化が進み、谷戸低地には本来見られないはずの

マユミなどの木本類が急速に増加しています。このまま放置すると湿地環境

失われ、斜面の二次林と同様な樹林地となって生物多様性が低下してしまいます。

そこで、谷戸低地に増加しているマユミ、ノイバラなどの落葉広葉樹を適宜

伐採することで乾燥化を防止するとともに、一部土を掘り返したり、流水を

引き込むことで湿地環境の回復を図ります。

落葉広葉樹の伐採に当たっては、皆伐するのではなく、生物多様性の保全に

配慮した手法とします。マユミは基本的に伐採しますが、ノイバラについては

小型鳥類の隠れ場所として利用されている株もあるので、選択的に刈り残します。

ヤナギ類は湿地性の落葉広葉樹で、昆虫類の食草・吸蜜源としての役割を持って

いますが、増加し過ぎると湿性草本群落が後退してしまうので、増えすぎない

ように適宜刈り取ることとします。

 土の掘り返しは、湿地環境の回復と共に、小規模な攪乱により埋土種子が発芽

することも期待されます。谷戸奥でかつて確認されていたクサレダマ(サクラソウ

)を始めとする湿地性草本類の再び確認されることが期待されます。

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