●2022/6/4

  

お世話になっております。Nです。

Mさん、Kさんにご協力いただきました「都市域のオオタカの分布モデル」の解析が一通り終了しましたので、概要をご報告いたします。いつも通り、Mさん、Kさんとは共著者として連名とさせていただければと思います。

研究結果の概要と今後の方針について以下の内容は論文出版前のため、大変恐縮ですが、まだ第3者には共有しないでいただければ幸いでございます)
まず、おかげさまで調査地内(関東・愛知・大阪の都市圏)で合計186ペアのオオタカの巣が集まりました。当然、同一ペアの行動圏内に複数巣がある場合はランダムに選定した1つのみを解析に使用し、不要な擬似反復が生じないようにしています(したがって、実際に解析に使用した巣も186となっています)。次に、調査地全体に1000点のランダム点を発生させ、そのうち、地点から100m圏内に森林がほとんどなかったランダム点495点を除外して、505地点を不在点として使用することにしました。これらのデータをもとに、解析した結果、オオタカの生息には森林面積率(地点から100m圏内で集計した場合が最高の予測性能)が高く、林縁から100m圏内にある畑と草原の合計面積率(地点から900m圏内で集計した場合が最高の予測性能)が高く、道路までの距離が遠い場所に生息しやすいことがわかりました。そして、これらの結果をもとに、調査地全体のオオタカの生息適地を推定したとこと、調査地全体の5%以下がオオタカの生息候補地であることがわかりました。さらに、これらの候補地のうち、都市計画法、都市緑地法、都市公園法で保護されている面積はさらに少なくなることがわかりました。日本が先進各国の中でも最も人口密度が高く、都市化が進んでいる国の一つであり、都市化は世界中で急速に進展していることを考えると、これと似たような状況は将来的に多くの国々で発生すると思われます(すなわち、生物多様性指標の生息適地が非常に少なく、それらは法的にも保護されていない)。これらの結果をうまく文書化し、論文化する予定です。

添付ファイルの説明
添付ファイルがモデルで予測したオオタカの生息候補地になります(まだまだ非常に簡易版で、方位と縮尺を入れていませんが)。上が関東、右が大阪、左が愛知です。赤が生息確率>0.66、黄色が0.33<生息確率<=0.66、灰色が生息確率<=0.33です。白色はそもそも森林がなく、解析から除外した地域(すなわち、明らかにオオタカが住めないので、不在点にはしなかった地域)です。

 

実際に論文を書き上げ(執筆時間)、それが出版されるまで(審査時間)にはまだ時間はかかってしまいますが、辛抱強くお待ちいただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。最後になりますが、貴重な情報を快くご提供くださったことに改めまして感謝申し上げます。

N